CINEMA STUDIO28

2014-01-27

Bluebeard's eighth wife / Hets

 
 
シネマヴェーラ「映画史上の名作」特集で。ルビッチ「青髭八人目の妻」、1938年アメリカ。脚本はチャールズ・ブラケット&ビリー・ワイルダー!主演はゲイリー・クーパー、女優はクローデット・コルベール。いかにもルビッチの画面に似合う粋な女優さん。
 
 
 
挙式当日に結婚相手が7度も離婚歴があると知った女、そんな夫婦の結婚生活を巡る攻防。冒頭、デパートでひとつのパジャマの上と下を別々にそれぞれ買う出会いからラストまで洗練されたセリフの応酬にうっとりしたりクスクスしたりしてる間にあっという間に終わってしまう面白さ。海の場面が合成バリバリなのがとても良い。明らかに背景から浮いてる車の運転シーンなど、昔の人々ができるだけ現実っぽく見せようと頑張った、努力の跡が垣間見える合成バリバリの映像を眺めるの、クラシック映画の醍醐味だと思う。女優に着せる衣装のセンスが良い映画監督にハズレなし。の法則に気づいたのは仕立屋の息子・ルビッチの衣装センスに驚いて以来。それから、ルビッチ映画に登場する女性はみんな、富豪と結婚して旦那の稼ぎで悠々自適だろうが何だろうが、すぱっと自分の足で立つ女ばかりなので観てて気持ちがいい。エンドマークを見届けた後はいつも、この世にこんな完璧な映画ってある?って感激しきり。
 
 
 
 
 
併映はアルフ・シューベルイ監督「もだえ」、1944年スウェーデン。カンヌで2度もパルムドールを獲ってる監督とのことだけど、観るのはきっと初めて。観たいと思ったのは、原案・脚本がベルイマンと知ったから。
 
 
 
 
高校を舞台に、ひとりの女性を巡って高校生と教師が三角関係に。しかしこの教師がサイコパスで女性を徐々に追い詰めていき・・という物語。まず、1944年スウェーデンの高校生がまるで高校生に見えず30代ぐらいに見える。しかし彼らが青春の苦悩に「もだえ」てる様子はどの時代も高校生らしいのであった。女の部屋で目覚めた高校生が、朝ベッドで「女の部屋で目覚める。これぞ男の夢だね」って言いながらお菓子を食べるシーンはキュートだったな。徐々に静かに狂気を増してゆくサイコパス教師の描写(壁に映るモンスターみたいな影!)は緊迫感があり、絶望から立ち上がる高校生のラストの描写は、たしかにベルイマンの香りがした。
 
 
今回もハズレなしで堪能した「映画史上の名作」特集、私はこれにて見納め。毎回楽しみにしてる固定ファンも多そうな企画。私ももちろんそのひとり。次回のラインナップも期待!