CINEMA STUDIO28

2015-01-31

頤和園

 
 
ロウ・イエ監督の新作「二重生活」を観る前に、過去作を観ておこう。の続き、2007年の映画「天安門、恋人たち」(原題:頤和園)をDVDで。頤和園は北京市内の北のほうにある名所旧跡で、西太后が夏の別荘として使っていた場所。英語ではsummer palaceと呼んだはず。大きな湖があり、そこから見える景色が水墨画のようで、中国にいるなあ!って実感できる、私の大好きな場所。
 
 
地方都市に住む女子高校生が北京の大学に合格し、寮に住み大学生活を満喫する。しかし天安門事件が起き、主人公は退学して地元に戻った後、中国国内を転々とし、仲間たちはベルリンへ移住し…という物語の中心に、主人公と大学で出会った男との激しい恋愛がある。
 
 
前半の北京の寮生活の様子が懐かし面白い。北清大学、が舞台なのだけど、確か北京にはそんな名前の大学はないのでは?おそらく北京大学+清華大学を足して似で割る架空の名前なのでは。どちらも中国の最高学府なのだけど、映画ではほとんど勉強してる様子は描かれずひたすら恋愛と人間関係のもつれが描かれる。頤和園は大学が密集するエリアからそれほど離れておらず、映画では湖でボートに乗ってデートする2人の場面がある。この場面、美しかったな。暗くなって湖の上に月が昇って。
 
 
天安門事件を描いたことに加えて、激しい性描写があることで監督はこの映画によって中国での映画製作5年間禁止処分をくらったとのこと。確かに、中国映画で、こんなに激しくても許されるんだ…と唖然としたのだけど、許されなかったのね。主人公が情緒不安定な女で、心の隙間を埋めるために身体を使い、その度に相手や住む場所が変わったりして、1人の女性の感傷的な半生記(というほど長くもないけど)でもあり、何分に一度性描写を入れる規定があるロマンポルノのようでもあった…。
 
 
決して政治的なことを中心に描きたかったわけではなく、その同時代に北京にいた学生たちの生活とその後の人生を描きたかったのだろうな。みんな天安門事件には参加してるけど、周りに合わせて見に行った程度で、政治的主張の強い人々ではない。感情的な物語展開に少し辟易としながらも、離れ離れになった恋人たちが、長い時間と、長い移動距離を経て、ドラマティックでも何でもない北京から遠く離れた場所で再会するラストのほろ苦さこそロマンティック。
 
 
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カメラ問題は初夏あたりまで考えるつもりが、あっさり解決。デジタル一眼を使っていた頃の写真を見返していると、その頃の写真に一番満足してるけど、持ち歩かなくなった理由もわかる。持ち歩く持ち物が少なめな私の鞄にはかさばりすぎる。小さくて軽ければ持ち歩くかな?とミラーレスを検討し始め、目星もつけたのだけど、「多様なレンズが魅力」の一台ながら、どうしても撮影場面にあわせてマメにレンズ交換している自分が想像できず。うーん…と思ってるところ、ある日ふと知ったPENTAX MX-1、マクロから4倍ズームまでボタンひとつで切り替えられて、カメラにうるさい人たちにも写りの良さも評判が良いとのこと。上下に今時、真鍮が使われているカメラの基本のようなデザインもおじさんくさくて良い。ネックは、真鍮ゆえに重いらしいこと。知ったその日にビックカメラに寄って実物を触ってみて、確かに重いのは気になりつつ…。
 
 
PENTAXブランド最後のコンデジとの噂もあり、既に生産終了しているらしく?在庫が終われば手に入りにくくなりそうなので、早く決めるべきよね…と迷いつつ、次の日の夜、Amazonを見ていると偶然タイムセールをやっていたので勢いで購入。ミラーレスは何ヶ月も迷ったのに、知って数日であっという間に手元に届いたのは別のカメラだなんて、縁ってこういうことよね。と納得せずにはいられない…。私が何か選ぶ時って、あれこれ考えはするけど直感を一番信用してるもんなあ。
 
 
かなり手が小さく、カメラのサイズや重さが気になる私でも、このカメラは重さが逆に構えやすさ、手ブレしなさに繋がっていて使っていて快適。写りもとても好み。写りっていいか悪いかは最低限の問題としてあるとして、好みの問題のほうが遥かに大きい。どんなに人気のカメラでも、思ってたんと違う!って写真だと、相性が悪かったねとしか言いようがない。初期のデジタル一眼時代の名残で、液晶ではなくファインダーを覗いて撮るという行為自体をもう一度やってみたい欲求はまだ残ってるので、このカメラを使い倒した次は、フルサイズのデジタル一眼を選んで手に入れようと思う。