CINEMA STUDIO28

2015-12-24

Christmas in Connecticut

 
 
クリスマス間近に家でぬくぬく観るクリスマス映画・第2弾。「クリスマス・イン・コネチカット」、1945年の映画。昨日の「7月のクリスマス」繋がりでもあるのだけど、今年観て最高だったスタージェス「レディ・イヴ」主演のバーバラ・スタンウィックという女優さんが大好きになり、出演映画を探してるうちにクリスマス映画を発掘。「7月のクリスマス」と違ってこちらはオープニングからクリスマスソングが流れる純粋クリスマス映画。
 
 
戦場で傷を負った兵隊が病院で、帰還後、美味しい手料理を食べることを夢見る。そこにあった雑誌に登場する料理研究家に目をとめ、こんなの食べたいなぁ…と。その料理研究家こそバーバラ・スタンウィック。料理研究家としてのキャラ設定は、農場で暮らす、夫も生まれたばかりの子供もいる主婦だけど、それは真っ赤な嘘で、実は彼女は独身生活を謳歌し料理なんて何もできないニューヨーカー。全部周りがお膳立てしてくれているだけの虚像なのである。出版社オーナーがクリスマスに殊勲兵を招き彼女が料理を振る舞うという企画が決まったものだから、慌てて夫と子供を調達するのだが…という物語。ドタバタしながら夫と農場と子供を調達してくるくだりが可笑しい。農場の周りの新生児が生まれたばかりの家に声をかけ、借りてくるのだけど、1泊2日のそれぞれの日で、手違いで借りる赤ちゃんが違ってしまい、女の子から男の子に変わってしまったり、それを「病気だから!」と勢いで乗り切ったり。
 
 
 
反目しあう男女が紆余曲折を経て結ばれる、不都合を隠して嘘に嘘を重ねるけど最後に素直になってハッピーエンド、など、ロマコメはざっくり分類してもそれほどバリエーションは多くないけど、こういうの、アメリカのお家芸、伝統芸能という趣がある。疲れて心身くたくた、という時でもロマコメなら観られるのは(早く寝ろ、という話だけど)頑張って筋書きを追わなくてもいいから頭のコリがほぐれるのだろうな。
 
 
この映画が日本未公開なのは、バーバラ・スタンウィックはじめキャストが日本人には馴染みがなかったからなのだろうか。スクリューボールコメディと呼ぶには若干キレが足りないと感じるのは、何しろスタージェスのキレキレのを何本も観てしまっているからなのだけど、バーバラ・スタンウィックは「レディ・イヴ」然り、この映画然り、男に依存しない、こういった役柄が似合うなぁ!と、彼女の台詞回しや仕草を眺めるだけで満足した。小股が切れ上がった、という表現がぴったりの女。そしてそんな女を際立たせるのも周りの男たちの度量というもので、その点、この映画の俳優たちは少し相手不足だったのかもしれない。けれど、キッチンでフライパンを構え、パンケーキを勢いよくひっくり返す、「女は女である」でアンナ・カリーナも挑戦していたあの動きにバーバラ・スタンウィックも挑戦しており、パンケーキをひっくり返すバーバラ・スタンウィックを眺められるだけで、じゅううぶんに楽しい1本なのだった。