CINEMA STUDIO28

2016-02-22

1920s - 30s

 
 
春の嵐って吹き荒れたのかしら。眠っていたから気づかなかったのかしら。朝の地面は濡れていた。しかし日曜の空は嵐が冬の気配を洗い流したような快晴。ギンレイホールで1本観てから靖国神社の前を通り、北の丸公園を抜けて工芸館へ。
 
 
フィルムセンターの展示に会期中何度も通うことがあるので、近代美術館のパスポートを持っており、竹橋のこちらも企画展以外は観られる。1年間、1000円の良い使い途ではないかしら。
 
 
 
 
未来へつづく美生活展の最終日へ。
 
 
このような展示物の製作年が幅広い展示では、展示品名より先に製作年を確認する癖があり、やはり私は20〜30年代が好き。ルビッチだって、観るように薦めてもらって最初に観たのは「街角 桃色の店」で、疲れている時に観たせいか印象に残らなかったのは…40年の映画ということもあるのかしら。その後ルビッチとの再会は、パリの…
 
 
1928年に建てられた映画館で
 
 
 
1925年に作られた映画「ウィンダミア夫人の扇」
映画館と映画、どちらもが放つアウラに圧倒され一気にルビッチに夢中に。
…20年代!
 
 
 
 
装身具を観るのが好きということもあり、こちらの一角に釘付け。どれも20年〜30年代。手前左の細長いものはシガレットケース、コンパクト、口紅の三位一体。サイズも小さめでどこに鏡や口紅があるのか、触ってパカッと開いてみたい…。「極楽特急」(1932年)でケイ・フランシスが持っているビジューたっぷりのクラッチバッグには何が入っているのか問題、これなら難なく入るし、用途もあれこれで装飾的かつ実用的。左上はイヤリングで、イヤリング掛けとセットでデザインされている。
 
 
 
 
展示物もさることながら、物に与えられた名前の美しさ。特に「初夏」と名付けられた紬(初夏という言葉の響きから連想する色そのもの)、「峰の雪」と名付けられた器、自然や季節に因んだ短い名前を潔く与えられるその言語感覚、自分に欠けているものなので羨ましい。何よりこれ、
 
 
 
 
ミニチュアサイズの工芸品と美術品の中間のようなオブジェが3つ並び、「用途を指示せぬ美の創案」と名付けられていて…名前と物の関係、禅問答のように名前自体が問いかけになっていて、物もまたそうである。という事実に圧倒された。これも1930年。
 
 
 
タイトルを決めるのが苦手なのに、いくつもタイトルの宿題を抱えておるので、欠けている種類の言語感覚は今からでも開発可能であろうか…。など、考えながら帰宅。