CINEMA STUDIO28

2016-06-07

1987

 
 
東大本郷キャンパスの紫陽花。先週、紫陽花はさほど目につかなかったのに、1週間のうちに梅雨入りが高らかに宣言されたから、梅雨?うちらの季節ですが?と一気に主張しはじめたみたい。紫陽花って曇天の下、葉の上に雨粒が残る、ちょうどこんな日に観るのが似合う花。
 
 
繁忙期が明け、ロメール特集に復帰。土曜夜「レネットとミラベル 四つの冒険」(やっぱりこの映画は特別に好き!)、今夜は「友だちの恋人」を観た。ファッションを見ながら、この2つの映画は制作年が近いのではないか…と思っていたら、どちらも1987年。オーバーサイズのシルエットにメンズライクな革靴やスニーカー、最近の流行は確実にこの時代のリバイバルの気配がするなぁ…ということは、どちらの映画にも登場した肩パッドのしっかり入ったジャケットもそのうちリバイバルするのだろうか…。
 
 
ロメール映画、フランス女性たちのナチュラルなファッションに注目されたりもするけど、時々ギョッとするぐらい80年代!なキャラクターも登場する。「レネットとミラベル 四つの冒険」のスーパーマーケットで万引きする女性のファッションやメイクはなんだか異形だし、とりわけ「緑の光線(1985年)」、主人公デルフィーヌがやさぐれながらパリに戻った時、信号待ちか何かで話しかけてくるナンパ男は、レスリングの選手のような、それはいったいどこを見せてどこを隠しているの?と問いただしたくなる謎の露出のタンクトップ、しかも…メッシュ素材!目の粗いメッシュ素材!もう、いっそ裸になったほうが潔いのでは?というタンクトップに80年代真っ只中シルエットのジーンズで、ひゃー!いくら当時の流行だとしても、どれだけ1人でやさぐれていても、こんなメッシュのタンクトップ着た男に声かけたられたらデルフィーヌじゃなくてもそそくさと逃げるし、うまく巻いて一息ついたところで哀しみがこみ上げてきそう…と、あの偏屈なヒロインに軽く同情する威力のメッシュのタンクトップっぷりであった。
 
 
ロメール特集は金曜まで。あと1本観られるかな。東京では梅雨の入りに終わってしまうけど、梅雨明け、真夏に観られる地方の人がむしろ羨ましい。