CINEMA STUDIO28

2016-06-02

TIME AND PLACE ARE NONSENSE

 
 
LAからのお土産でいただいた、あちらで発売された鈴木清順本。清順映画の個性やバイオグラフィーも網羅し充実の内容、デザインもスタイリッシュで映画好きなら一家に一冊系の本。TIME AND PLACE ARE NONSENSEというタイトルが、清順映画の不条理、粋、モダーンな特徴を異なる言語で短く表現できていて、いいタイトルだなぁ…タイトルをつける才能の欠如した私は軽く嫉妬した。
 
 
そして未見なのだけど、タイトルが美しくて気になっていた「悲愁物語」のあらすじを教えてもらって俄然観たくなっている。
 
 
「製作も務めた梶原一騎による原案を、大和屋竺が脚本化し鈴木清順が監督。日活を解雇された鈴木が十年ぶりにメガホンをとった作品だったが、公開後わずか二週間足らずで打ち切りとなってしまった。  日栄レーヨンが自社のイメージモデルとして、若くて美しい女子プロゴルファーの桜庭れい子を起用。コーディネーターの田所は、雑誌「パワーゴルフ」編集長の三宅とコーチの高木の協力を得て、れい子を全日本女子プロゴルフ選手権優勝に導く。れい子は一躍スターダムにのし上がり、日栄レーヨンと専属タレント契約を結んだ。大金を手に入れたれい子は豪邸を購入し弟と同居し、近所の主婦たちの羨望の的となるが、やがて憧れは嫉妬に変わっていき…。」
 
 
爽やかスポーツ選手の栄光と挫折…なんて清順映画でそんなのあるはずもなく、文字を追ってるだけで珍品の香りしかしない。次にかかることがあれば見逃さないようにしなければ。珍品といえば今年観た中で最もポカーンとしたのはジョニー・トー「柔道龍虎房」で、黒澤明「姿三四郎」へのオマージュと言うべき柔道映画なのだけど、同時に落ちこぼれたちの青春映画でもあり、普段のジョニー・トーなら銃撃戦になるところが柔道に置換されていて終始ポカーンとした。スポーツ映画、珍品が多いジャンルなのかも。「悲愁映画」のあらすじをようやく知ったばかりで決めつけるのは早計だけれど。